まだ見ぬ友人へ
新年の挨拶は早めにしておきたいものだ
あけましておめでとう、友人よ
今年も懲りずに僕に付き合ってくれ
見出しの写真は、初釜代わりの室内野点風景だ。
茶杓が見つからんというトラブルに見舞われたが、代用品で乗り切ったぞ。
僕はお茶なんて習ったことはないんだ。
ただ、子供の頃に見ていたのでなんとなくだ。
なんとなく覚えているものを、後から自力で調べて学んで行くことは沢山ある。
自分で点てれば飲み放題だぞ。
今回の正月はどうにも準備不足だった。
着物も大晦日になってしわ伸ばししている体たらくだ。
適当に仕舞ってはいけないな。正絹は特に扱いに気をつけねば。
寒いのでウールのアンサンブルでもいいかと思ったのだが、正月なのでやはり正絹の着物にした。
三着ぶら下げながら、正絹の二着で迷って写真のものにした。
結局、気に入っているものはよく着ることになる。
二日に用意していた茶菓子でお茶を点てた。
着物と茶道具はアレだったわけだが…
啓翁桜は予定通りに入手できた。
写真では蕾ばかりだが、部屋が暖かいので数時間後に花開き始めたのだ!
「さっきまで咲いてなかったのに!」
子供も驚いていた。
やはり新年には新年の花がいい。
正月用の花もそれぞれの部屋に飾った。
今年は家にいようと思っていたが、子供はおでかけしたいというのでショッピングモールにも行ったぞ。
僕は賭け事好きなので、福袋が好きなんだ。
賭け事と言っても一般的なギャンブルのことではない。
「勝負事」と言った方がいいだろう。
どうなるかわからない勝負が好きなのだ。
それにしても、購入先の店が変わると年を感じるな。
三十代中盤までは渋谷のメンズ109で服を買っていた僕だが、大人になったのでもう卒業したんだ。
根拠なく嫌っていたEXILEを実は好きなのだと自覚したら、安心して卒業できたぞ。
今ではT.Kつまりタケオキクチとか、コムサとかナノ・ユニバースとか、昔は絶対に着たくないと思えたブランドに移行した。
その昔あまり柄が良くなかったことなど微塵も思わせないスタイルに、無事移行できたぞ。そしてそれも今は気に入っているのだ。
娘は、「最近は、かわい子ぶることにした!」とのことで、かわい子ぶった部屋や服にしたいらしい。何やらあれこれ買っていたぞ。
心理的な成長については常に説いているが、実際の生活の中での行動もしているようで何よりだ。
「こだわりを持つことが大切だ。違いを知るのだ。」
と室内野点をしながら、違いを知るとはどういうことか説明した。
教える方でも説明しなくてはならないと思った。言語化するまでに時間がかかって仕方ない。常に観察、そして思考の繰り返しだ。
それにしても、タケオキクチとはつまりキクチタケオなわけだが、ひっくり返しただけで随分イメージが変わるものだ。このような言葉遊びは大変興味深い。
正しい日本語など全員学んでいるので言うまでもないことだが、大人になったらやはりそれぞれがセンスで崩して表現するから面白い。
正しいの正しくないのでもめている人々は、もうそんな時期はとっくに過ぎて今は応用編に入っていると知らないのかもしれない。
自分の表現を編み出していくにも非常に時間がかかるのに、これでいいのかどうかなんてまだ人に聞いているようでは将来が心配だ。
話は元に戻るが、ゴディバが福袋を出しているなんて初めて知ったぞ。
つい買ってしまった。
どこまでも金がベースなところが高級感だな。
昔は「言うほどうまくねえ」と思ったものだが、最近日本人好みの味に変化したように感じる。
実際、チョコビスケットを食べたら物凄くうまかった。
ビスケットが違う。チョコは勿論なのだが、素材の時点で違うのだとわかる。麦の味がハッキリわかるような、とても香ばしい絶妙な味と焼き加減だった。ビスケットと言うには僕たちの感覚では薄い、ガレットを思わせるようなものだった。
とても、うまかった。
今回のおでかけでは、他にボディショップというロクシタンの遠い親戚みたいな店で選ぶ福袋を買った。
僕は女子向けの店ですぐに店員につかまってしまうので、時々なんとなく見ていただけなのに商品を買っている。
女子向けの店の店員は、男性客は何もわからないと思うのか、とにかくすぐに寄ってきてずっとついてきて説明をしてくれることが多い。
なんとなく居たたまれない気分になるので、できればそっとしておいてくれないだろうかと思うこともあるくらいだ。
それにしても、最近は季節のイベントが昔ほど盛り上がらない感じでイマイチ面白くない。
最低限といったところだろうか。
僕も正月はゆっくりと思って読みたい本を買っていたのだが、よく考えたら人が来れば世話は全て僕なのだから、一人になるまで時間など全くないのだった。
まあそれでも、子供が喜んでいればそれでいいかと思えるものだな。
気分よく疲れた。それもまたよしだ。
唯一、またしても面倒くさくて袴を履かなかったことだけが、心残りだ。
君はどんな正月を過ごしただろうか?
今年が君にとって新たな人生の始まりであることを願っているよ。
最上 雄基