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君にとっての「勝ち組」とはなんだ?
まだ見ぬ友人へ
こうしてまだ見ぬ友人に手紙を書くのは久しぶりだ。
君は生きていたか?
実は「先生」として話すよう求められ頑張ってきたのだが、どうにも僕は普段から口が悪いから、キャラクターを作ろうとすればするほどうまく話せなくて疲れてしまうんだ。
なかなか簡単に新しい顔を生み出すことはできないな。それが他人に求められる顔であれば猶更だ。
同じ話を何度も録画して、結局配信はしない。そんなことを繰り返している。
僕にできることなどないと思えるのだ。
僕はただ、わかるだけだから。
ただわかるだけ。
世間では肩書のお陰で頭がいいと思われている連中が、実際には馬鹿だと見てわかるだけ。
誰も突っ込まないが、少し考えればわかることなんて沢山ある。
それだけ「少しも考えない人間」が多くなったってことだ。
題した通りだが、君にとっての勝ち組はなんだ?
君にとっての、だ。
人間と戦いたい人は、世間の勝ち組になりたがるだろう?
馬鹿め。
なれるわけがない。
他人が決めた価値観の勝ち組になんて、なれるやつがいたら見てみたいもんだ。
あはははは。
(・Θ・)あはははは
この態度だから、僕は一般社会なんて向かないのさ。
だって、君だって今僕が言ったこと、理解できないだろう?
聞いても理解できない。だから話す意味を感じなくなったんだ。
自分のことを発表し合っている人たちは、順番に相手の話から連想した自分の話をしている。
それもどうだよと思うが、僕の話に張り合って自分の意見を言うなんてことは、そうそうできない。
知能が違い過ぎるから。
そしてこっちはそんなこと求めていない。
張り合っているわけではない。
頭がいいのもいれば、力持ちのやつもいる。料理がうまいのもいれば、話すのがうまいのもいる。
そんなものだろう。
それで?君の欲しい物はなんだ?
君にとっての勝ち組は、君が欲しいものを手に入れた時になれるものだろう?
世間の優劣で決められるものなのか?
もしそうならば、君は誰かを見返したいのではないのか?
「優越感」
それが欲しいならば、君はどこかで悔しい思いをして、その時の恨みで生きているのではないか?
ちょっと口は悪いけれど、はっきり言わせてもらう。
君は馬鹿だな。
否、殆どのやつが、バカだと僕は思っているよ。
悔しい思いをしたから、恨みを晴らすだと?
それでどうなる?
それが勝ち組か?
それが欲しかったものか?
カッコつけているだけで、傷付いたことすら自覚できない負け犬だろう?
復讐はカッコいいとか、傷付いても犠牲を払ってきたから可哀想だとか、そんなもの自己陶酔して思っているだけの「自己評価」だろう?
君のことなんて、君を傷つけたやつは気にしていないさ。
そんなこともわからないのか?
いじめをする奴なんて、その時いい気分になったら「自分が相手にしたこと」すらすっかり忘れて、自分が意識して見せたい部分だけ覚えているものだ。
もし、君がいじめられた悔しさで見返してやろうとしても、「見返す相手」なんてどこにもいない。
なんせ、記憶していないんだから。
知っているか?
ずっと我慢して生きている「つもり」だった人が、いつか親に認めてもらうために大人しくしていた。
よくある話さ。
そして遂に堪忍袋の緒が切れて、親に向かってヒステリーを起こすんだ。
昔どんな時に、どんなに辛かったかと涙ながらに訴えて。
そんなもの対応できる相手はどこにいもいない。
親はすっかり忘れている。そんなことを思っていたとも知らずにいた。
そして、その事実は確実に「事実にしてしまうと親にとってマイナス」なのだから、そんなものは認めない。
無かったことにされる。
今更、親が「可哀想がってくれる」なんて思える方が現実を見てねえ、と僕は思うよ。
どこに、貴様の家の中のどこに、子供の気持ちを理解して反省する親がいたんだよ。
そんなものは「だったらいいな」と思い描いていただけの架空の親だ。
最初から存在していない。
現実と願望が滅茶苦茶になっているから、自覚していない。
復讐なんて全ては無駄だよ。
相手がいないのに一人でやっているだけなのだから。
それで、もう一度聞く。
君にとっての勝ち組はなんだ?
最初に欲しいものがなかったんだろう?
誰だってそうさ。
欲しかったものなんてひとつもない。
だからこそ、欲しいものがあるんだろう?
それを手に入れることが、君の勝利じゃないのか?
それとも、家の中に戦いがなくて面白くなかったか?
争いたいのに、人を見下したいのに、それがないから面白くなかったのか?
支配や服従の世界にでも憧れていたのか?
僕は、もう勝利したんだ。
勝ち組なんだよ。
生れた時から欲しかったものは、手に入ったんだ。
愛ある家庭だ。
僕は愛し合う家族が欲しかった。
明るく楽しく、兄弟もふざけ合ってじゃれている。
両親は深く愛し合っていて、子供たちを心から大切に思っている。
普段はバカなことを言っていても、大事な時は真剣になり、力を合わせられる。
共に生きていく未来を常に考えている。
そんな家族が欲しかった。そんな家庭に生まれたかった。
そして生まれた。手に入った。
だからもう僕は「可哀想な子」じゃないんだ。
愛されて育った人間なんだよ。
愛されずに育ったのに、なぜか前向きに成長している、と人間性心理では「例外」にされている人格だ。
だが、違うんだよ。
そうじゃないんだ。
僕自身は、今のこの僕は、「愛されずに育った最初の自分」ではないんだ。
最初から違う家に生まれた僕なんだ。
もう勝利したんだよ。
もう勝ち組なんだ。
だからもう満足しているんだ。
現実には沢山の困難があるが、僕は「愛されて育った自分」が好きなんだ。
事実を事実として認識し、そして「常識」の発想を無視して「可能な方法」を考える。
後は、確実に可能だと確信した方法を実行する。
もう、最初の頃のことはよく覚えていないんだ。
ただ「こんな人が自分の母親なんて嫌だ」と思ったのは間違いない。
他人に「この家族の一員」だと思われたくない。そう思っていたよ。
正直、みんなが羨ましくもある。
そこまで執着できるほど、「この家族」を捨てたくないんだから。
期待したい親。好きだった親。
そんなもの、僕には最初から無い。
認めてもらう相手が「この親」では、努力の甲斐もない。そんな親だった。
「君は自分の過去のことを話すといいと思うよ」
僕の才能を買ってくれた加藤諦三先生に、そう言われたんだ。
だが、僕は話したくなかった。
元に戻りたいわけではないから。
僕は誰も教えていない方法を自分で編み出した。そして実行した。
それでうまくいって、もう過去のことは本当にどうでもいいと思っているんだ。
この今の僕の人生を生きる方が、余程大事だから。
今になって、セラピーの方法や精神医療の治療を見ていても、自分でやってよかったと思っているよ。
なんの後悔もしていない。自力で考え、学び、そして実行してきた。
どこに行ってもそんなことは教えていない。
加藤諦三先生は、その方法は知らない。ただ、僕が現実をどう考えたかを聞いて、驚いて感心していた。
この方法しかないと思ったんだ。
今、治療している人たちも僕は憐れに思っている。
本人が選んでいることだし、別にそれを批判するわけでもなんでもないのだが、僕なら御免だと思うからだ。
最初からレッテルを貼られた人生なんて、僕は御免なんだ。
最初から、愛されて育った「普通の子」の人生が欲しかったんだから。
親に虐げられたという不可抗力の事実のために、人生すべてを持って行かれたくなかったんだ。
そして、武士を倒してこの社会を作っている、何者なのかもわからない連中を信じて「正しいこと」などする気もなかったんだ。
「輪廻転生なんてあるわけがない」と言い放つアホの「専門家」の優越感になど、付き合っていられない。
あるわけがないのは当たり前なんだから、言葉通りの意味のわけないと思わない連中。
額面上通りにしか理解できない頭の足りない頭の連中が、社会を作っているんだ。
社会的権威に認めてもらえたら、自分がすっかり「すごい人間」になった気になって、自分が生み出したものでもないものを覚えてはコピーして話しながらすっかり知性派気取りだ。
弁護士に何人も関わる機会があったが、彼らの仕事ぶりは金の亡者としか思えないクズそのもので、口八丁で誤魔化しながら世間知らずの庶民を騙しているだけだった。
あんな連中と結婚する女も、ろくな女ではないだろう。
男同士で肩を寄せ合って、「私たち一緒にやったもんねー!」なんて二人組の中学生女子みたいな話し方をする。
そんなのがいた。
世の中は金ではないが、金のために生きている人間ばかりで面白くもなんともない。
妄想を具現化することしか考えていないから、今そこにある「普通」のものには興味がない。
だが、僕はそれでいいんだ。そっちがいいんだ。
僕は「普通のもの」が欲しかったんだから。
社会の負け組であることを悔しく思うならば、君はもうすっかり毒されていて幸せが何か知る日は来ないだろう。
知らなければ欲しがることもなかったもの。
見返してやろうとさえしなければ、やらなかったこと。
達成しても欲しいものなんて手に入らない、無駄なもの。
ところで君は、権威ある人たちが言う「立派なこと」が本当だと思っているか?
権力は人の頭をおかしくするんだぜ。
君は知らないだろう。
僕も今起きていることなんて、想像もつかなかったよ。
だが、もし、権力を握っても、かつての武士のように己を高めるための精進を怠っていたらと想像すれば、どんなことになっているのか、人の心の中だけは容易に予測できる。
僕たちは、なんでもない庶民として生きていく立場だ。
だったら、知りもしない理想を追いかけない方がいい。
君は君の人生においての、君が君と勝負して勝てる「勝ち組」になればいいんだ。
そうすれば、戦いは終わる。
自分の中の戦いを終わらせれば、戦いは終わる。
君は何と、誰と、戦っているんだ。
人を恨むものではない。
恨みは、「負けた人間」が抱く感情であって、その時既に勝負はついているんだ。
人を地獄に引きずり降ろしたいならば、「恨ませること」。
そうすれば、放っておいても恨んだ相手のために人生をつぎ込んで、無駄な努力をし続ける。
そして恨みを晴らしに来た時に、もう一度傷つけることができるんだ。
「なんのために頑張ってきたのか」と。
絶望できればまあラッキーだよ。
絶望にすらたどり着けない人間には、もう出口などない。
それにしても、あまりにもみな深く物事を考えないな。
世の中はもっと深く、そしてずるくいろんなことを考えている人たちが作っているのだから、もっともっとよく考えないとな。
「こんなに浅はかであったら、僕だって死ぬことになる」
簡単にわかるほど、あまりにも何も考えずに生きている人が不幸だ困ったと言う。
そして人に何かを教えてもらっては感傷に浸り、遊興に入れ込み、なんとなくぼんやり生きているのだ。
こうなるともう社会にすら関われていない。
なんとなく存在している「世の中のモブ」だ。
意思がなければ、それすら本人自身がなんとも思わないんだな。
気の毒に思うのは、僕に自分の意思があるからでしかない。
本人にとっては、なんでもないことなのだから。
僕はもう、勝ち組だから、他人のことは気にしていない。
争いが目的だったわけではない。
争うことが目的の人は「みんなに羨ましがられそうなもの」を欲しがる。
だが、僕は「僕の欲しいもの」が欲しかっただけなんだ。
君はどう生きる。
君は、誰と勝負しているのか。
君にとっての、「勝ち組」とは、一体なんなのか?
君が息災で生きていくことを願っているよ。
じゃあ、また。
まだ見ぬ君の友人
最上 雄基
無料動画「本当に自分を嫌いな人は全然いなかった」
自分を嫌っている人は、実際には全然いなかった…。
僕が思っていた「自分を嫌っている」とは違うものだった、というお話。
寧ろそんな私が好き。
全然違うじゃん!
同じ言葉を使っても、まったく違うことを言っていることがあるものです。
長いお話ですが、新しい環境で作ってみた動画なので試しに皆さん視聴できる形で配信します。
動画 約57分